『お見舞いギフトブック』開発ものがたり

このギフトブックを手にしてくださった皆さまへ

『お見舞いギフトブック』は、
入院・療養中の方の生活をより明るく、快適に、その人らしくするために、
そして、お見舞いする方の気持ちをお届けし、大切な絆を橋渡しするために開発・制作された新しいサービスです。

なぜ、どのようにしてこのお見舞いギフトブックが誕生したのか、この一冊に込められた想いを少しだけご紹介します。

2010年、20代の会社員だった『お見舞いギフトブック』制作スタッフの千葉は、心臓の病気で半年間の入院・療養生活を経験しました。突然病気を宣告されたときのどうしようもない葛藤、この先一生病気と付き合っていく先の見えない不安、手術の痛み、入院生活の不便さなどが、千葉の身に染みました。

病院内を見回すと、お見舞い客がなく入院生活を一人で過ごしている方や、生きる希望を失ってしまったかのようにぼーっと時間をやり過ごす方が少なくなく、そうした姿が次第に千葉の心を占めるようになりました。

「たとえ入院中でも、もう少し外の人や世界とつながることができたり、自分の時間をより良く過ごせたりするようなサービスがあったらいいのに…」

その想いが、『お見舞いギフトブック』誕生の小さな種となりました。

退院して一度は会社員に戻った千葉ですが、自身の病気経験を活かして新しいサービスをつくりたいという想いは日に日に大きくなり、社会起業(社会の課題を解決するビジネス)について学ぶ講座に通い始めました。

その講座で一人の女性医師と出会いました。彼女、杉山絢子は現役の医師で、「人と人とをつなぎ、がんや病気になっても自分らしい未来を選択できる仕組み」をつくりたいという夢を持っていました。その想いに共感し、自分が目指す未来の社会との共通性を感じた千葉は、杉山や他のメンバーとともに2013年、一般社団法人CAN netを立ち上げました。

CAN netの活動を通じて、多くの病気経験者や医療者たちと出会った千葉のもとに、アイデアの種をさらに具体的に、より良い形にする様々な知恵や意見が集まり始めました。

そうして見えてきた新しいサービスの形が、「病気経験をした人が『入院中、こんなものが役に立った』という商品や、『つらいときにこんなことを考えていた』という声を集めた、お見舞い用のカタログギフト」です。

このアイデアを周囲に話すと、「あったらいいね」「ぜひ作ってほしい」という声が続々とあがり、この新しいサービスが社会に必要とされていることを確信。実現を目指し、2014年、千葉とCANnetの仲間たちはカタログギフトの制作に本格的に取り組み始めました。

とはいえ、事業化経験のない自分たちだけでは力不足のため、企業で活躍する社会人ボランティアの方たちにも参画してもらい(※1)、第一歩として、カタログギフトの「試作版」を制作。この試作版を持って企業や入院・療養経験者、医療職、専門職などに幅広く意見を聞き、半年間、ブラッシュアップを重ねました。

「プレゼントとして手渡せるかわいい冊子だといいな」
「入院中は疲れやすいので、絵本のようになっていると読みやすい」
「入院している人を孤独にさせない、つながりを生む仕掛けも入れてはどうか」…
ヒアリングによって得られた新たなアイデアも加え、最終的に目指すべき形とコンセプトが固まりました。

それが、

入院生活に便利な商品をカタログギフトのように選べるだけでなく、入院経験者の声が集められていて、それが絵本(ブック)のように読める

——『お見舞いギフトブック』

です。

「ギフトブック」という名称には、単なるカタログギフトでもなく、本でもない、新しい価値の意味を込めました。

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2015年夏、病気経験のある編集者やデザイナー、イラストレーターも制作スタッフに加わり、『お見舞いギフトブック』の冊子とWEBの制作が本格スタートしました。その間、ギフトブックに掲載する商品を厳選するため、入院・療養経験者を集めて「商品選定会」を実施したり、延べ70人の入院・療養経験者・お見舞い経験者にアンケート(※2)を行って様々な声を集め、掲載商品やギフトブックの内容に反映させました。

制作資金には、クラウドファンディング(※3)などによる約150人の支援者からの貴重なご寄付も、実現を後押ししてくれました。

このようにして、数多くの先輩病気経験者の知恵、サポートしてくださる方々の温かい想いやスキルの結集として完成したのが、『お見舞いギフトブック』です。

このギフトブックを通じて贈りたいものは、「心」「未来」「選択肢」です。
入院・療養者を気遣うお見舞いする人の「心」
“先輩”である病気経験者が照らしてくれる少し先の「未来」
入院・療養者の生活を豊かに、その方らしいものにする「選択肢」

そして、このギフトブックが
病気を一人で受け止めないで、みんなで少しずつ荷物を背負える社会
病気の経験を自分一人の中に閉じ込めないで、次につなげていける社会

を生み出す橋渡し役になれればと願っております。

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【株式会社 GIFTRee のご紹介】
2015年10月、ギフトブックを事業として本格的に展開するため、一般社団法人CAN netからスピンオフして株式会社GIFTRee(ギフトリー)を設立しました。GIFTReeという社名には、『みんなの経験・知恵が還元して、木のように育ち、ギフトという実をならす』という思いを込めました。

【一般社団法人 CAN net のご紹介】
2013年6月、「がん・病気になっても自分らしく生きられる社会をつくる」という理念のもと、設立された非営利団体です。東京・札幌・旭川を拠点に約50人の様々な年齢・職業のメンバーが参加しています。がん・病気になったときのよろず相談窓口「がんコンシェルジュサービス」、社会人が“生きる”ことを学ぶ場「キャンパス(CAN path)」の開催、病気になった後もイキイキと暮らせるためのサービスづくりなどを行っています。

<代表者プロフィール>
杉山絢子(腫瘍内科医、医学博士)
一般社団法人CAN net代表理事、株式会社GIFTRee代表取締役。自身と両親の病気や看取りの経験から、病気と向き合うことは人生のマイナスではなく、大切な知恵やスキルであると実感。本業の医者としての仕事に加えて、「病気になっても自分らしく生きられる社会」を目指して活動中。

※1「NPO法人 二枚目の名刺」のサポートプロジェクトとして、第1期(2014年)、第2期(2015年)合わせて12名の製薬企業社員、大学教員、メディア関係などの社会人メンバーに参画、ご支援いただきました。
※2 日頃からCAN netの活動にかかわってくださる方々のほか、「NPO法人 患者スピーカーバンク」、「若年性がん患者のための団体STAND UP!!」、「乳房再建体験者によるピアサポート倶楽部 re-breast」「がん経験者のがん経験者によるがん経験者のための 「生のインタビュー型情報発信番組」がんノート」の皆さまにもご協力いただきました。
※3 クラウドファンディングサービス「READYFOR」を利用